投資初心者タカシ
「スマートベータ戦略」ってどんな投資運用?
「スマートベータ型ETF」って何?
今回は、投資用語の「スマートベータ」について解説します
この用語を知っているだけで、投資で勝つことができるかもしれません。
少なくとも、投資信託や上場投資信託(ETF)の選択の場面で、活躍します。
目次
ざっくりと、3行でスマートベータとは?
株価指標、投資戦略、投資信託の運用タイプの概念です。
- 過去に高いリターンを上げてきた「ある共通属性」でまとめた株価指標
- コストを抑えて、市場の平均を上回ることを狙うルール運用型の戦略
- 指標になるべく近づくように運用するETFが存在する
まず、スマートベータ型運用とは?
投信信託(複数の株をまとめて販売している商品)は、「パッシブ型運用」と「アクティブ型運用」に分けられます。それぞれ、次の特徴を持ちます。
- パッシブ型運用 = 市場全体の平均に近づくように株を選定
- アクティブ型運用 = 市場に勝つために機関投資家が株を選定
この中間に位置するタイプが「スマートベータ型運用」です。
パッシブ型 ↔ スマートベータ型 ↔ アクティブ型
スマートベータ型運用は、ルール化し、コストを抑えて平均を上回ることを目指す
単に企業の時価総額で計算して、市場の平均的な投資をするパッシブ型運用に対して、
いくつかの優れた属性(過去、リターンが出ている特性)で株を絞り込みます。
また、人が経験や調査、勘で選定するのではなく、過去高いリターンを出した共通属性をルール化して、選定することで、手数料(人件費)を抑えることにもできます。
つまり、「スマートベータ型運用」は、コストを抑えて、市場の平均を上回る投資をする戦略です。
- 市場全体の平均になるように株を選定(パッシブ型運用)
- 市場全体の中でいくつかの優れた属性でフィルタした株を選定(スマートベータ型運用)
市場に勝つために機関投資家が株を選定(アクティブ型運用)
スマートベータ型運用は、パッシブ型のデメリットを補うもの
市場全体の平均に近づくように株を選定している「パッシブ型運用」(時価総額で加重して計算)は、市場全体に投資するようなイメージですので、負債が多い企業の株や、年々売上が下がっている株にも、投資してしまうというデメリットがありました。投資家にとっては、明らかに悪い株はさけておきたいところです。
スマートベータ型運用は、高いリターン(利益)につながる属性をルールに基づいて選定することで、「市場平均のリターン」+「属性によるリターン」を狙って得ることができます。
アクティブ型運用との違いは?
アクティブ型は、凄腕のトレーダー、機関投資家が独自の調査や経験則に基づいて株を選択しています。上がる時は大きく上がるというメリットもありますが、狙いが外れて下がる時は大きく下がるというデメリットもあります。そのため、すべてのアクティブ型の投資信託の平均をとると、手数料で負ける懸念がありました。
運用が簡単なパッシブ型に比べると、アクティブ型は手数料が高いです。結果、高い手数料で負けてしまうデメリットが出てきます。
「スマートベータ型運用」は、凄腕の投資家が選ぶのではなく、共通属性の株をルールにより選定していくことで、自動化し、株選定のコストを抑えられることができます。
なぜ、市場平均(時価総額加重)を上回れるのか?
過去の傾向から長期で市場を上回る株は共通した「属性」を持つことが複数の研修者から発表されています。企業や株の傾向として次の特徴があります。
属性のいくつか
- 会社が小規模である
- 配当利回りが高い
- 値動きが景気に連動しづらい(最小分散、低ボラティリティ)
- 会社の資本に対して株価が割安
実際に累積リターンです。
特に、小型株は市場平均(時価総額)に比べると高いリターンを上げています。
ルール化することで、株選定にかかるコストをアクティブ型よりも抑えて、マイナスリターンの企業の株にも投資してしまうパッシブ型のデメリットも抑えています。
スマートベータ指標とは?
スマートベータ指標とは、インデックス(時価総額で加重して計算)に含まれる株のうち、より高いリターンを出す株を選定する基準です。これといった特定の基準を示すわけではなく、投資ファンド各社より色々な指標が出ています。
スマートベータ指標のいくつか
・会社が小規模である
・配当利回りが高い
・値動きが景気に連動しづらい(最小分散、低ボラティリティ)
・会社の資本に対して株価が割安
・財務の健全度が高い
・配当支払い能力がある
・売上、キャッシュフローが良好
・ROE(資本に対するリターン)が高い
・負債と資本の比率
日本の年金の運用にスマートベータが使われている
世界的にも巨額の資金を運用する日本の年金の運用団体(GPIF)では、海外の投資事例や経済の研究者の論文などを調査の上、「スマートベータ戦略」で資産を運用しています。
それだけ、確かなものになりつつあります。
実際にどういった指標があるか?
スマートベータ指標は、各団体から指標が出ています。
JPX日経インデックス400
ヒト・モノ・カネの経営視点からグローバルな視点で優れた条件を満たしたから構成される株価指標です。
iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックス
継続的に高い投資対効果(ROE)を実現している企業群で構成された株価指標です。
モーニングスター配当フォーカス指数
米国株式市場にて、高い配当の企業群で構成される株価指標です。財務の健全性も高いので、安定して、高い配当のリターンを狙える指標です。
このように、スマートベータ指標は、特定の属性(過去、市場を上回った特定)を持つ株で構成されています。
どんなETFがあるか?(スマートベータ型ETF)
ETFとは、株を束ねた投資信託が証券市場で取引できるようにしたものです。
中でも、スマートベータ型のETFとは、スマートベータ指標に近づくように株が構成されたETFです。
次のようなETFがあります。
JPX日経インデックス400連動型上場投信
「JPX日経インデックス400」に連動するように運用しています。
(運用会社:野村、日興、三菱UFJ、大和、ブラックロック、DIAM)
JAPANクオリティ150上場投信
「iSTOXX MUTB JAPAN クオリティ150インデックス」に連動するように運用しています。
(運用会社:三菱UFJ)
iシェアーズ 米国高配当株ETF
「モーニングスター配当フォーカス指数」に連動するように運用しています。
(運用会社:ブラックロック)
つまり、これらを選べばスマートベータ戦略で手軽に株を運用することができるのです。
ETFを自動運用するサービスもある
上記のスマートベータ型ETFも色々あるので、選ぶのも一苦労という悩みもあるかと思います。
ETFを自動運用するロボットアドバイザーが注目を集めていますが、その中で「THEO」は「スマートベータ戦略」を採用しているので、自動運用サービスを活用して、積み立て投資という方法もあります。詳しくは、THEO公式サイトへ
良い戦略のようだけど、結局、過去の傾向でしょ?
「過去十何年か高いリターンが狙えたかもしれないけど、未来はわからないでしょ?」
確かにその通りです。
ただ、大きな資産を運用する投資において、過去の分析は非常に重要です。
企業を1つ1つ分析していくことも大切ですが、個人では投資家の負担が大きすぎます。
それであれば、世界の機関投資家や多くの経済研究者が時間をかけて調査・研究した「スマートベータ」という共通属性を投資の材料として運用していくのは、効果的です。
投資では次の3点が重要ですが
- 複数の株への分散投資
- 企業の財務状況の診断
- ルールに即した一貫性のある投資、
「スマートベータ戦略」はそれらを満たす投資戦略です。
さいごに
「スマートベータ戦略」「スマートベータ指標」「スマートベータ型ETF」いかがでしょうか。理解は深まったでしょうか。
投資をする際には、シンプルな「インデックス投資」に加えて、これらの投資戦略を取り入れると、より安定して高いリターンが狙えるかもしれません。
ETFや自動運用サービス(ロボアド)の説明はこちらをご覧ください。
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