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熟年離婚したときに、退職金は妻が受け取れるのか?1級FPが回答

・熟年離婚を考えていますが、退職金はもらえるの?
・離婚すると退職金はどうなる?
・離婚後に受け取る退職金も分けてもらえる?

今回は「離婚したときに、退職金は妻が受け取れるのか」こんな疑問に答えるコンテンツをお届けします。

1級FP/相続診断士 渡邉先生

こんばんは、1級ファイナンシャルプランナーの渡邉です。

 

熟年離婚は避けたいものですが、辛い現状を打開するには、やむを得ない決断が必要な時もあるかもしれません。旦那の退職金は、妻はもらえるのでしょうか。

聞いた人:渡邉亮 先生 1級FP/相続診断士
株式会社 AWARD 取締役 ( award-finance.com )
1級ファイナンシャルプランナー/相続診断士

慶応義塾大学理工学部卒。大手企業にて5年間会社員の後、得意とする金融・相続の知識を活かして、現職。お客様にあった着実な資産計画に定評あり。全国通算120回以上の講演経験を持ち、 書籍「貯蓄完全ガイド」を監修(晋遊舎出版)

離婚したときに、退職金は妻が受け取れるのか?

結論からお話すると「退職金」は妻が受け取ることができます

離婚した場合、「財産分与」として相手方の財産の一部をもらうことができます。

財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中に夫婦の協力によって築いた財産です。

具体的には

夫婦の協力によって築いた財産
  • 土地や建物などの不動産
  • 自動車、絵画、宝石、金などの動産
  • 現金、預貯金
  • 有価証券、投資信託
  • 退職金、年金
  • 生命保険金
  • 会員権(ゴルフ場、リゾート施設など)
  • 借金、債務、住宅ローン、車ローン
  • 個人事業主の財産

などとなります。

ただし、結婚前から個人で所有していた財産については財産分与の対象になりません。

分割でどれくらいもらえるの?

分割するのだから半分はもらえると思われるかもしれませんが、具体的には違います。

例えば、就職して数年してから、結婚した場合には、働いていた期間のうち、結婚していた期間が、分ける対象額となります。

数式にすると次の通りです。

この計算式を見る通り、勤続期間中の婚姻期間の長さで財産分与の対象額が決定します。

結婚と同時に就職をして、離婚と同時に退職をしていれば半分になりますが、現実的には結婚前から働いている人が多く、離婚後に退職するケースも多いので、退職金総額の中で婚姻期間に相当する金額ということになります。

ちなみに個人の優れた能力によって多額の退職金だったり、夫婦の収入が同等なのに家事労働は著しく差があったりなど、特別な事情があるとき以外は基本的な財産分与の割合は2分の1になります。

よって、

となります。

退職金がまだ支払われてなかったら分割されるの?

「まだ退職金を受け取っていない段階で、離婚した」人によっては、こんな状況もあるかと思います。

将来的に支払われることが、ほぼ確実であるとことが見込まれていたら財産分与の対象になります

ただ金額は就業規則や支給実態等を考慮することになります。

定年退職より前に熟年離婚すると受け取れる額が少なくなる?

熟年離婚のタイミングは様々だとは思いますが、妻が離婚を考えるタイミングの1つに、夫の定年退職があるのは間違いないでしょう。

なぜなら、その前に離婚をし、その場でもらうようにした場合、財産分与の割合が少なくなってしまうからです。なぜ少なくなってしまうかというと、この財産分与に中間利息控除が使われるからです。

中間利息控除とは?
将来受け取るはずの金額と同額を今すぐ受け取ると、将来までの利息も含めて受け取ってしまうことになるため、今すぐ受け取る場合は利息分を先に控除する(少なくする)こと。

この控除のことを考えると定年退職前に離婚する場合、多くもらうことは難しいでしょう。ただ、だからといって、それを狙った熟年離婚が多くなっては欲しくないですね。