投資初心者ミナ
・投資信託を勧められたから、買ってみようかな
・そういえば、銀行ってなんで預金を勧めるの?
今回は、こんな疑問に関する記事をお届けします。
1級FP/相続診断士 渡邉先生
株式会社 AWARD 取締役 ( award-finance.com ) 1級ファイナンシャルプランナー/相続診断士 慶応義塾大学理工学部卒。大手企業にて5年間会社員の後、得意とする金融・相続の知識を活かして、現職。お客様にあった着実な資産計画に定評あり。全国通算120回以上の講演経験を持ち、 書籍「貯蓄完全ガイド」を監修(晋遊舎出版) |
前回は現代の退職金事情についてご解説しました。
前回の記事
「退職金っていくらもらえる?」退職金のアレコレを現役FPにインタビュー
退職金の活用は考えるべき
貰えない会社もある一方で1,000~2,000万円のお金が一度に振り込まれることは、人生で早々何度も経験することではないでしょう。
大きなお金が一度に入るからこそ、そのお金をどのように活用していくかはとても大切になります。銀行には「退職者専用の定期預金」なるものもあります。そういった預金プランはどうなのでしょうか。
銀行の定期預金ってどう?
退職金の預け先として、最も一般的なのは銀行でしょう。
退職金は現金で渡されるわけではなく、当然のことながら銀行に振り込まれます。そうしたお金の動きは銀行も把握していますので、そのような大きなお金が入った退職者の方というのは、銀行にとって格好の営業ターゲットになり得るのです。
銀行がどのように収益を立てているかを考えたことがありますか?多くの方の感覚ですと、銀行というのはお金を預け入れる場所ですが、他にも様々な業務を行っています。銀行の収益源として挙げられるものとしては、
- 個人や法人への貸付による金利
- 資産の金融商品(国債等)による運用益
- 外国為替による収益
- 金融商品の販売に伴う手数料
等がありますが、特に注意したいのは最後の金融商品の販売に伴う手数料です。
銀行にとって金融商品の販売(保険、投資信託等)から得られる手数料は貴重な収益源です。そのため、そういった金融商品を大口で購入してくれる可能性がある退職金を得た方は、とても大切にしてきます。
退職者向けの預金商品?
その一例が退職者向けの預金プランの存在です。
「退職金を利用して大口の預金をしてくれる方向けに大きな金利をつけますよ」というプランが各銀行に存在しています。ただし、こういったプランも良く見るといくつか気をつけたい点が挙げられます。
- 金利優遇期間が短い
- 抱き合わせで保険、投資信託等の購入が条件になっている
などです。
保険や投資信託の手数料は見えずらいものです。特に外貨建ての一時払い保険に関しては、銀行での取り扱いが急増していて、金融庁が懸念を表明しているような商品です。
金利が少し高いからと言って大きな手数料が取られてしまっては結局損をしてしまいます。
数字のマジック?
仮に1000万円のうち500万円を3ヶ月だけ4%の金利がつく預金に入れ、残りの500万円で販売手数料が3.24%の投資信託を購入するとしましょう。すると、
500万円×4%×3ヶ月/12ヶ月×(100%-20.315%)=39,843円
500万円×3.24%=162,000円
定期預金で受け取る約4万円より、セットで購入する投資信託の支払い手数料 約16万円の方が大きいのです。
というように、得られる金利よりも支払う手数料の方がはるかに高くなってしまうのです。高い預金金利だけに注目していると、こうした商品を購入して望まない結果になることもあり得ます。
まずは冷静になって考える
こうしたことも考えると、大きなお金が入ったからといってすぐに銀行の提案を受け入れるのでなく、冷静になって自身の退職金をどう活用していきたいかを考えるのが大切です。
一時的には預金のまま保有しておくのも選択肢の一つでしょう。ただし、預金のまま銀行に置いておくのも、実は損をしてしまう可能性があります。
次回はなぜ銀行の預金に置いておくだけでは損をしてしまうのかについてご紹介します。
まとめ
今回は、退職金の預金プランなどについて解説しました。この記事のポイントは次の通りです。
- 退職金は、銀行にとって銀行にとって格好の営業ターゲット
- 銀行にとって金融商品の販売から得られる手数料は貴重な収益源
- 預金金利がよいからといって、安易に勧められたプランは注意
- まずは冷静になって自分で考える必要あり
1級FP 渡邉先生
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